浜松市東区の小児科・アレルギー科 にしお小児科

 ひとことアドバイス 

乳幼児やアトピー性皮膚炎の子どもでは、皮膚のバリヤー機能は大人に比べて弱いので、細菌、カビ、様々なアレルゲン(ダニ、食物アレルゲン、化学物質など)が侵入しやすく、皮膚にいろいろな症状(湿疹、とびひ、カビによる皮膚炎など)が現れます。皮膚が乾燥すると、その防御機能が保たれないため、湿疹ができやすくなり、痒みも増してきます。冬季は空気が乾燥し暖房をするため、皮膚から水分が失われやすいので、夏季よりさらに皮膚の保湿が必要です。入浴後、皮膚がしっとりした状態のうちに保湿剤をたっぷり塗布することで、乾燥による痒みを防ぎ、皮膚のしっとりさを維持することが必要です。できれば1日2回朝と入浴後に保湿剤を塗布することで、よりしっとりした皮膚が維持されます。

中耳炎は、大きく分けて2種類あります。急性中耳炎は、耳の痛み(乳幼児は痛みを訴えられないので、長く続く理由の分からない不機嫌)や耳漏(耳だれ)が主な症状です。滲出性中耳炎は、鼓膜の内側に滲出液が貯留(たまる)だけで、痛みはありません。当院では、耳鏡で鼓膜を確認して、耳鼻科での治療が必要な場合には紹介しています。

おむつの中は高温多湿の環境です。細菌や真菌が増殖しやすいため、乳幼児ではカンジダ皮膚炎や細菌性皮膚炎をしばしば起こします。清拭や洗ってもよくならない時は、早めの受診をおすすめします。

 汗疹 

汗疹は、乳幼児では避けては通れない問題です。汗腺(汗がでるところ)の周囲に細菌の感染などで赤くなる状態を汗疹といいます。汗腺の数は、赤ちゃんも大人も同じなので、汗の量も一緒です。そのため乳幼児では、汗疹ができやすいのです。汗疹の予防は、汗の成分に細菌がつきやすいので、シャワーで汗を流すこと、濡れタオルで汗を拭き取ることです。一旦赤くなって痒みもある場合には、軟膏などの塗布が必要です。汗疹が悪化すると、とびひやカンジダなどのカビの感染がおこります。乳幼児の体温は大人に比べて高く、基礎代謝も多いので、服装は大人より1枚薄くする方がよいのです。

胃腸炎は、大きく分けて細菌性とウイルス性に分かれます。夏によくある食中毒は、主に細菌性です。食中毒の場合には、下痢だけでなく、激しい腹痛と嘔吐、時に発熱をともないます。治療は、点滴をおこないながら原因となる細菌を突き止めてそれに対する抗菌剤を投与します。

ウイルス性の場合は、ノロウイルスやロタウイルスに代表されるもので、症状は嘔吐と頻回の下痢です。乳幼児が多く罹患し、保育園、幼稚園などで集団発生しやすいです。治療は、症状に対する対症療法のみで、OS-1などの経口補水をおこない脱水を予防して症状が治まるのを待つことです。全く経口的に補水ができない場合には、点滴をおこないます。乳児や幼児期早期の児では、回復がゆっくりで下痢がなおるには2週間以上かかる場合があります。その間は、お粥など糖質を中心とした食事を与えることで回復を待ちます。

咳がでる原因には大きく分けて二つあります。

(1)ウイルスなどの感染やアレルギーによって気道の粘膜が腫れて敏感になるため、温度変化などの小さな変化で咳がでやすくなる。

(2)喉や気管支に痰や鼻水がたまる場合にそれを体から出そうとする反応としておこる。

(1)の場合はもとの病気の状態を反映しますので、原因に対する治療と咳で体力が消耗しない程度に咳止めの薬をつかうことがよいのですが、(2)の場合は体から痰などを出したいという体の防御反応なので、咳によって哺乳ができなくなったり眠れないなどでなければ、咳を薬で止めることだけでなく、水分摂取と加湿や薬などで痰などを出しやすくしたり、鼻水を吸い出したりする対処が必要とされています。